デンタルトピックスQ&A

11. 口腔乾燥症(ドライマウス)について 


ドライアイ(目が乾く)やドライスキン(乾燥肌)はよく耳にしますが、ドライマウス(口腔乾燥症)というものをご存じですか?これは唾液の出る量の不足や口呼吸などにより、口腔内が異常な乾燥状態になる病気です。 
国内でのドライマウス人口は約800万人ともいわれ「ドライアイ」とともに徐々に注目され始めています。

〔どんな症状?〕

唾液の99%は水分で、その他の成分として唾液タンパク質があります。この唾液タンパク軽度の場合はおもに口渇感だけですが、唾液による湿潤、粘膜保護作用が失われるため口唇や舌表面のひび割れ、口内炎の増加、味覚異常ひいては舌痛、摂食や発音、呼吸に障害が現れることもあります。また、唾液による自浄作用もなくなり歯・歯周への歯垢の蓄積による虫歯、歯周炎の進行を促すとともに、口臭の増悪を来します。そして、咀嚼、嚥下、会話などの口を用いる基本的動作が困難となっていきます。

〔ドライマウスと口臭〕

唾液には洗浄、湿潤、抗菌、消化、粘膜保護作用等たくさんの役目があります。
唾液分泌量の低下により口腔内細菌は異常増殖し、産生する臭気物質により、口臭も当然強くなってしまいます。

〔ドライマウスと虫歯・歯周病〕

唾液が不足すると唾液の各種作用が低下するため細菌の活動が活発になり異常増殖が始まります。細菌の産生する酸は歯の表面のエナメル質を溶かしむし歯を引き起こし、酵素や毒素は歯肉や粘膜に炎症を起こすだけでなく歯周病を引き起こしたり、悪化させたりします。

〔ドライマウス(口腔乾燥症)の原因〕

ドライマウスは、唾液腺の機能低下による分泌量の減少以外に、水分喪失による脱水(腎性、腎外性)、唾液分泌刺激に抑制的に作用する薬剤の服用、精神的緊張などの感情や満腹の程度等、さまざまな因子に左右されます。一般的には、以下に大別されます。

〔ドライマウス(口腔乾燥症)の原因〕

ドライマウスは、唾液腺の機能低下による分泌量の減少以外に、水分喪失による脱水(腎性、腎外性)、唾液分泌刺激に抑制的に作用する薬剤の服用、精神的緊張などの感情や満腹の程度等、さまざまな因子に左右されます。一般的には、以下に大別されます。

  1. 腺因性
    (シェーグレン症候群をはじめとする慢性萎縮性唾液腺炎、口腔癌に対する放射線治療による唾液腺萎縮など)
  2. 薬剤性
    (副作用により口腔乾燥を生じる薬剤として、降圧薬、利尿薬、抗ヒスタミン薬、抗うつ薬、抗不安薬、鎮痛薬がよく知られています。これら以外にも口渇を来す薬剤は多くあり、日本医薬品集のデーターベースで副作用に口渇を挙げているもの約600種類にものぼるとされています)
  3. 全身性代謝疾患
    (熱性疾患、脱水症、下痢、糖尿病、高血圧などに伴うもの)
  4. 神経性
    (唾液分泌神経の障害・抑制が生じるような神経系に原因がある場合で、顔面・舌咽神経の障害や過度の精神的ストレス、自律神経障害、脳血管障害に伴う口腔機能障害による唾液分泌抑制など)
  5. 老人性口腔乾燥症
     加齢により舌や咀嚼筋、口輪筋、頬筋などの口腔領域の筋力が低下し、噛む回数が減少し、これにともない唾液の分泌量も減少します。
    また、高齢者では、高血圧、抗不整脈薬などの薬剤を服用している場合が多く、薬剤性の口腔乾燥を合併している可能性が高いと考えられます。
     さらに、高齢者では歯の喪失率が当然ながら高く、不安定な義歯の使用により十分な咀嚼を行うことができず唾液分泌の低下を引き起こすことも考えられます。そして義歯を安定させるために唾液は重要であり、唾液の減少により義歯が不安定になってしまうといった悪循環になっていることが非常に多いです。
  6. その他
    食生活
     あまり噛まなくても飲み込める軟らかい食事が主流となった現代人の食生活も原因の一つです。
    口呼吸
     いつも口を開けていると唾液が蒸発して口が渇く原因となります。
〔予防と対策〕

現代人は多くのストレスにさらされています。過度のストレスは交感神経と副交感神経のバランスを崩し唾液の量を減らします。適度な気分転換をとることが大切です。また年齢が上がるにつれて常用する薬が増えていく傾向があります。薬の量が増えてドライマウスの症状が現れることもあります。健康管理はどのような病気を治す上でも大変重要です。

ドライマウスは、いろいろな障害をもたらしますが、これらは原因を特定し治療すれば、多くは快方へ向かいます。また、継続した日常に口腔ケアも重要となります。
〔生活指導項目〕としては、以下のような事柄が挙げられます。

  1. 口腔内の湿潤に気をつける(頻回の水分補給、保湿剤の使用)
  2. 口腔清掃を心がける
  3. 咀嚼回数を増やす、ガムの咀嚼を行う
  4. 酸味で唾液分泌を刺激する
  5. 顎下腺・耳下腺のマッサージ

またドライマウスに対しては、唾液の分泌を促進する塩酸セビメリンやアネトールトリチオン、麦門冬湯や小柴胡湯などの漢方薬による治療や、局所治療法として頻回の含嗽、人工唾液の噴霧、最近ではドライマウスに対するケア商品として口腔内用保湿ゲル(オーラルバランス、オーラルウェット、絹水、ウェットケア等)が市販されています。

〔ドライマウス自己診断〕

・ いつも口渇感がある
・ 唇や舌が荒れやすい
・ 味覚異常がある
・ 飲み込みにくいことがある
・ 口臭がきになる
・ 喋りにくいことが多い
・ 呼吸器系の病気にかかりやすい
・ 常用薬がある
・ 重度のむし歯や歯周病がある
・ ドライアイがある

3つ以上該当したらドライマウスの疑いがあります。かかりつけの歯科医にご相談ください。









「what's New No.68」を追加しました。

最終更新日 2014年8月4日

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荒木大介 院長・医学博士
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日本アンチエイジング歯科学会 認定医