デンタルトピックスQ&A

7. 再発する口内炎の原因と治療


痛い痛い口内炎!
  
一口に口内炎と言ってもいろいろなものがありますが、最も一般的にみられみなさんを苦しめているものは、“再発性アフタ”と言われるものです。これには径が五〜六mm以下の小アフタと、それ以上の大きさの大アフタ、さらには小アフタが口の中に多数形成されるヘルペス型の三つに分類されます。
 
再発性アフタはその名のごとく、舌や歯肉あるいは頬の粘膜などとできる場所を変えて、しばしば再発を繰り返します。
アフタは丸く小さな浅い潰瘍をつくり、食事の時や歯ブラシなどの刺激で強い痛みを認めます。小アフタの場合には症状は軽く、放置しておいても5日〜1週間で治癒します。大アフタでも10日〜2週間くらいで治ることがほとんどです。


Q. 何で口内炎はできるの?

ではできる原因はというと、残念ながら明確にはわかっていません。
最近ではいろいろ複合的要因による免疫異常が原因ではないかとか、また、HLA遺伝子産物との関連など遺伝子的要因が重要ではないかと考えられていますが、詳細は不明です。またヘリコバクター・ピロリとの関連や精神的・肉体的ストレスが生じた時に生じやすいともいわれています。 

 また、コーB2が不足してできるといった話を聞くことがあります。しかしながらコーヒーには、無機質とごく少量のカフェイン、テオフィリンが含有されるのみで他に糖、蛋白はほとんど含まれていないので医学的に直接的な因果関係はないものとされています。ビタミンB2も投与による口内炎の治癒促進は期待できないことにより、ビタミンB2との関係もないと考えられています。


Q. どーやって治すの?

 慢性再発性アフタに対して根治的な治療法は現在のところありません。治療はもっぱら対症療法となります。
第一選択としてはみなさんもご存じの副腎皮質ステロイド製剤の軟膏(アフタゾロン、デキサルチン、ケナログなど)や、付着錠(アフタッチ)、または噴霧性粉末剤(サルコート)が多く用いられています。
 これらに加えて、二次感染予防のための抗生物質の軟膏(テトラサイクリン軟膏)や、痛みを和らげる目的で使用する知覚鈍麻剤(アネステジン)、粘膜の保護と口の中の洗浄目的でアズノール系のうがい薬(アズレン、ハチアズレなど)などを補助的に使用します。

その他の薬としては、セファランチン(アレルギーを抑えたり、血流をよくするお薬です。免疫機能増強作用、造血機能の改善作用などがあります。円形脱毛症などの治療で使います。)やアゼプチン(抗アレルギー剤)漢方(温清飲、小柴胡湯)などが投与されることもありますが、効果は不確実です。

 また最近では、催奇形性などの重大な副作用のために社会問題となった“サリドマイド”が、いくつかの難治性疾患に対する治療のオプションとして近年再評価されています。その対象となる疾患の中に“慢性再発性アフタ”が含まれていて、海外の複数の施設では一定の効果を挙げているようです。


Q. 薬以外の治療は?

 昔は硝酸銀焼灼(患部に硝酸銀を塗布して焼く方法)、レーザー焼灼、凍結外科(患部を凍らせて壊死させる方法、イボとりでよく使う)などを行う歯科医院もありましたが、一時的に痛みを抑えたりと有効な場合もありますが、病変の再発を抑える効果はなく、かえって患部を大きくしてしまい治癒が遅くなります。適応はありません。とくに硝酸銀焼灼は基本的には行ってはいけません。


Q. 口内炎ができる他の病気はありますか?

 慢性再発性アフタはベーチェット病との鑑別が重要です。
 
ベーチェット病とは、口腔粘膜のアフタ性潰瘍、外陰部潰瘍、皮膚症状、眼症状の4つの症状を主症状とする慢性再発性の全身性炎症性疾患で難治性の病気です。国の難病に指定されています。

4つの症状のうち口の中にできる再発性アフタ性潰瘍はほぼ必発(98%)で、口唇粘膜、頬粘膜、舌、更にさらに歯肉などの口腔粘膜に出現します。しかも初発症状であることが圧倒的に多くとても重要です。
個々のアフタ性潰瘍は10日以内に瘢痕を残さずに治癒することが多く、再発を繰り返すことが特徴的です。

口の中にできる病気は虫歯や歯槽膿漏だけではなく、放置していてはいけない病気(癌や難治性の粘膜炎、舌の病気など)もたくさんあります。

診断や治療も難しく、長期的に加療を要する場合もあります。口の中に何かできものができた場合はお早めに歯科を受診して下さい。









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最終更新日 2014年8月4日

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荒木大介 院長・医学博士
【所属学会】
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日本歯周病学会
日本障害者歯科学会
日本先進インプラント医療学会
日本アンチエイジング歯科学会 認定医