デンタルトピックスQ&A

2. 歯ぎしりと睡眠障害


歯ぎしり、いびき、ねぼけは睡眠中のパラソムニア(睡眠時随伴症)といわれています。いびきは耳鼻科、ねぼけは精神科神経科、あるいは小児科などでかなり研究や治療が行われています。

 歯ぎしりは、自分では気がつかず、人に指摘されてはじめてわかるもの。奥歯では最大50〜70kgもの力がかかり、歯ぎしりを続ける時間にもひと晩に5〜6分間、長い人では30〜40分間続く方もいます。歯ぎしりは6〜8%の人にみられ、性差や遺伝性はほとんど無く、一般には乳歯が抜けた10歳前後からり、加齢とともに減少するそうです。また、以前は咬合の不整と精神的なストレスが最も大きな原因であるといわれていましたが、現在では、両者の歯ぎしりにおける意味はそれほど大きなものではないと考えられています。
 歯ぎしりの睡眠中の動作などを記録すると咬筋、側頭筋などの活動と、脳波に覚醒に近いアルファー波が出ます。また、特に自律神経系で覚醒反応が出るなど、寝いる間も身体の一部だけが起きてる状態に極めて近なっているということでした(極めて短い断眠(microarousals)による睡眠障害)。また、ある種の脳内化学物質に対する感受性が問題とも考えられています。しかしながら、未だ明確な病因は不明なようです。

【歯ぎしりの分類】

主に寝ている時、無意識に歯をかみしめてキリッキリッという音がでることを一般的に歯ぎしりと言います。歯ぎしりは医学的に3つに分類されています。

  1. グラインディング
    上下の歯をギシギシとこする状態で、一般的に歯ぎしりと言われるものです。就寝時におこるのがほとんどです。
  2. クレンチング
    上下の歯を咬み合わせたまま食いしばる状態です。音が出ないため歯ぎしりと思われることが少ないのですが、これを夜間だけでなく昼間もしている方が以外に多く、歯周病や顎関節症、う蝕の増悪因子となります。非常に悪影響が大きなタイプです
  3. タッピング
    まるで物を食べているかのように上下の歯を噛み合わせカチカチと音を立てる歯ぎしりです。タッピングは歯ぎしりの中では少ないタイプです。

【治療法】

実は、現在でも決定打は無いのです。その治療は、個々の患者さまに合わせた対症療法的なものとなり、いわゆるマウスガードのような歯科用装置の使用、生活習慣の是正、そして薬物療法の3つを選択してあるいは併用して行います。

  1. マウスガード
    治療法として一番一般的なものが口の中に装着するマウスガードです。ただ就寝時の装着には違和感があり、慣れるまで苦労される方もいます。歯科用咬合装置は歯ぎしりの予防というよりは、歯や筋肉などを保護するという意味合いが強い。柔らかいマウスガードは短期の使用、硬いものは、よりシビアな歯ぎしりの治療に用いられます。
  2. 薬物療法
    薬物療法はマイナートランキライザー、筋弛緩剤、三環系抗うつ剤、そして咬筋肥大に対するボツリヌス毒素(最近美容外科でよく用いられるもの)などを用います。
  3. 生活習慣の是正
    これは快適な睡眠環境を作ることが重要といわれています。例えば、就寝前の60〜90分は運動を避け、心身をリラックスさせることに努めます。またコーヒーなどの刺激のある飲み物やアルコールも就眠前は飲まないようにします。喫煙も筋の過緊張を増強し、眠りを妨げる歯ぎしりのリスクファクターと考えられております。

どんな病気を治すのでも、やっぱり睡眠をとることが重要なんですね。









「what's New No.68」を追加しました。

最終更新日 2014年8月4日

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荒木大介 院長・医学博士
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日本アンチエイジング歯科学会 認定医